西園寺先生は紡木さんに触れたい

「そうだ、花奏ちゃん!連絡先交換しようよ〜!!」


そう言って千秋はスマホを鞄から取り出すと、半ば強制的に紡木と番号交換をした。


「ちょっと、2人とも紡木さんが困ってるでしょ。紡木さん、放っておいて良いからね。」


そう言うと西園寺は車を出した。






「や〜風が気持ちいねえ!」


西園寺が走らせた車は、海岸線を走り抜けていた。

千秋が窓を開けた途端、潮風が車内に入り込んできて4人の気持ちを昂らせた。


紡木も少し緊張が解けて、リラックスしたような表情で、海を眺めていた。


「ここ、覚えてる?」

不意に千秋が発した言葉に、樹は「あー、あの時の海か。」と返した。それに対して西園寺は深くため息をついた。


「思い出の海ですか?」


紡木がそう聞くと、千秋と樹はうんうん、と大きく頷いた。

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