西園寺先生は紡木さんに触れたい

「で、ぶっちゃけ花奏ちゃんはコイツのことどう思ってんの?」


にやりと笑った千秋にそう聞かれると、紡木は言葉を詰まらせた。


どう思ってる…?
つまり、えっと、そのー…。
良い人だとは思うんだけど…。


うーん、と唸っている紡木に、「紡木さん、答えなくて良いからね。」と西園寺は言った。


「花奏は今まで何人くらいの人と付き合ったことあんの?」


「えっ!あ、えっと〜…。」


今度は樹から質問が飛んでくると、紡木は再び言葉を詰まらせた。


0人…とは言えない。
先生はきっと私のことを経験豊富な人だと勘違いしているし。
でも、今どきの子って何人くらいが普通なの??


「紡木さん、コイツらの質問に真面目に答えなくていいから。」


呆れたように笑う西園寺がそう突っ込むと、「えー!圭ちゃんのために聞いてやってんのに!」と、樹は抗議した。


「そ、それより、もっと千秋さんたちのことの方が知りたいなあ…。」


話題を変えようと、そう紡木がおずおずと言うと、「えっ、可愛い…、なんでも教えちゃう。」と千秋はぎゅっと紡木を抱きしめた。


紡木は顔を真っ赤にしてあわあわしていると、「千秋、紡木さんが困ってるだろ。」と、西園寺はミラー越しに千秋をぎろりと睨んだ。

「はいはい。」と言って千秋は紡木から身体を離すと、ようやく解放された紡木はふう、とため息をついた。


「あ、そうだ、あそこの海の家に行こうよ!久しぶりに行ってみたくない?花奏ちゃんも行ってみたいでしょ?コイツがバイトしてたとこ。」

「あ、…はい…。」

「だな!俺あそこの焼きそば、わりかし好きなんだよな〜、ってことで、圭ちゃん、ぶっ飛ばしてこー!」

そう言って拳を突き上げる樹に西園寺は「はいはい。」と返した。

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