西園寺先生は紡木さんに触れたい
「よお。」
「ひっ!」
学校に着いた紡木は、西園寺にでくわなさないようにきょろきょろと辺りを見渡しながら歩いていると、後ろから突然声を掛けられ、悲鳴を上げた。
「…ってなんだ、霧島くんか。」
後ろを振り返って、その声が西園寺のものでないとわかった紡木はふう、と安堵のため息をついた。
そんな紡木の様子に蓮は疑問を抱きながら横に並んで歩き出した。
「…ツムツム、お願いがあるんだ。」
そう歩きながら重々しい雰囲気で話し出す蓮に、紡木の胸はどきりと音を立てた。
『ツムちゃん、ごめんね…もう、本当にそっとしておいてほしいの。』
あの日、そう切なそうに呟く葵の顔が紡木の頭に浮かんだ。
「ごめん、私はもう協力できないのっ!」
そう言って走り出そうとする紡木に蓮は「いや、そうじゃなくて。」と言い出した。
「そ、そうじゃないって…?」
驚いて蓮を見ると蓮は「とりあえず、教室行こうぜ。」と、再び歩き出した。