西園寺先生は紡木さんに触れたい
「ああ、これは、葵に婚約指輪を買ってやりたくて…バイトしようと思ってさ。」
「すごいね、バイト。でもバイトと勉強の両立って難しくない?」
「大丈夫、葵のためなら俺はなんだってやる!俺はそういう男だからな。」
そう言ってドン!と誇らしげに胸を叩く蓮に、紡木は笑った。
こんなにイカつい顔をして、意外と男前なところがあるんだな。
そう思って紡木は蓮に感心した。
「でもさ、なんでそこまで葵が好きなの?」
「ああ、それは…秘密だ。」
いつになく勿体ぶる蓮に、紡木は口を尖らせた。
「いいじゃん、減るもんじゃないし。」
「いいや、ダメだ。」
そう言って蓮は頑なに口を割らなかった。
「んー、まあいいや。協力するよ!でもテストでいい点取るってなったらまずは授業を聞かないと。サボったり寝たりしたら駄目だよ?」
「ええ!?寝たらダメなのか!?」
目を丸くして驚く蓮に、紡木はため息をついた。
本当に80点取る気あんのかな…?
二学期一日目にして既に不安でいっぱいな紡木であった。