西園寺先生は紡木さんに触れたい
次の日。
紡木は教室に着くなり自分の席で鞄の中を整理していると、不意に廊下がざわついた。
とはいっても、いつもの悲鳴ではなく、動揺の色が窺える声に紡木は不思議に思って廊下に視線を送った。
「何ジロジロ見てんだよ。」
振り向くとトレードマークの金髪を黒に染めた蓮が、ちょうど教室内に入ってきたところだった。
蓮は紡木の視線に気づくと、ずんずんと紡木に近づいていった。
「よお、どうだ?」
ドヤ顔で紬を見下ろす蓮に、紡木は「ど、どうしたの?」と首を傾げた。
「いやー、バイトが何処も金髪じゃ雇ってくれなくてよ。昨日急いで黒に染めたわ!てかムラになってねえ?後ろとか。」
そう言って後ろを向く蓮に、紡木は「全然大丈夫。」と返した。
「すごいね、霧島くん。漢気溢れてる。」
笑いながら蓮を褒める紡木に、蓮はますます誇らしげな顔をした。