西園寺先生は紡木さんに触れたい

西園寺はそんな2人を窓越しに、切なげな表情で見ていた。


紡木さん。

僕は一体…。


紡木から男性恐怖症だと告げられたあの日。
西園寺は紡木を送った後、家に帰るとパソコンで男性恐怖症のことについて調べた。


原因は…トラウマからなることが多い。


紡木さんは幼い頃に恐怖症の引き金となる出来事を体験したのだろうか。


誰が、そんなことを。


西園寺は頭に血が昇って脳が沸騰しそうになった。


いや、今僕が怒りに溺れたってどうにもならない。

僕は冷静に、今僕が紡木さんにできることを…


そう考えて調べては見るものの、殆どの記事は最後のページに病院で適切な治療を受けることを勧める旨が書かれていた。


そうだよな。
一般人である僕ができることなんて、ただ紡木さんに余計な恐怖を与えずに生きてくしかないんだ…きっと。


胸がちりちりと痛んで、西園寺は堪らず目を伏せた。

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