西園寺先生は紡木さんに触れたい
『てかさ、アンタが日和って身を引こうがどーでもいいけど、他の男に取られてもいいの?
だっていつどんな拍子で恐怖症が治るかわかんないんだよ?その時に後悔するの嫌じゃない?
まあ、どれもこれもアンタがあの子を寝取ってくれたお陰で気づいたんだけどね。』
最後の言葉に西園寺は胸が痛くなった。だからか千秋の言葉は説得力があった。
『あ〜なんかイライラしてきた!ちょっと外の空気吸ってくる!!』
そう聞こえた途端、プツンと電話が切れた。
酔って間違えて切れてしまったのか。
あまりのイラつきに故意に切ったのか。
どちらにせよ、西園寺の心はもう決まっていた。
僕は、紡木さんの為だ、なんて逃げていたのかもしれない。
自分もきっと拒絶されてしまうのではないかと。
そうならないように、自分の心が傷つかないように逃げようとしていた。
そんなの、嫌だ。
でも、そしたら僕は、どうしたらいいのだろう。
ソファに深く体を沈めると腕を組んで考え込んだ。