西園寺先生は紡木さんに触れたい
「え〜…では、志望動機は何ですか？」

「家が近ぇからっす。おっす。」

「…ちょっと、真面目にやってる？」


紡木は、「明日バイトの面接だから練習に付き合え」と蓮に頼まれて、放課後の教室で模擬面接をしていた。


「え？…んだよ、なんかおかしいとこあったか？」


あっけらかんとして言う蓮に、紡木はため息をついた。


「まずその座り方！脚組むとか論外でしょ！んで志望動機、近いからとか一発で不採用よ！」

「じゃあ時給「時給が高いからもダメ！」


ピシャリと言い放つ紡木に、蓮は「んじゃ、何ならいいんだよ。」と、キッと睨んだ。


「睨むのもダメ。志望動機は…うーん、よく利用しててお店の雰囲気がいいからとか？元々興味があって、とか？」

「はあ？意外と難しいな…。」


そう言って2人して考え込んでいると、紡木のスマホから着信音が鳴った。


こんな時間に電話なんて、母からだろうか、と蓮に断りをいれて画面を見ると、そこには『普通の人間』という文字が表示されていた。


「お、おい、ツムツム！？」


それを見るなり紡木は教室から飛び出して、近くのトイレに駆け込んだ。そして一息つくと、意を決して電話に出た。

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