西園寺先生は紡木さんに触れたい

「まず、謝らせてほしいんだ。

恐怖症だとは知らなかったとはいえ、すごく怖い思いをさせてしまっていたよね。

急に告白…というか求婚をして、どうしても紡木さんと関わりが欲しいからって、変な雑用押し付けて、狭い車内で2人きりになって。


僕、自分からを好きになるのが本当に初めてだから、適切な距離感が分からなくて、暴走してしまっていたよね。本当にごめん。」


そう言って深く頭を下げる西園寺には紡木は慌てて「頭あげてくださいっ!」と言った。


「言っていなかった私が悪いんですから。

それに、確かに最初はびっくりしたけど、先生すごく優しい人なんだなって分かったから…。」


そう落ち着きのある声で述べる紡木に、西園寺はゆっくりと顔を上げて彼女の顔を見つめた。


「今日も…本当は蕁麻疹が出て倒れた日から、気持ち悪がられて距離を置かれてるのかと思ったり不安だったんですけど…

先生はやっぱり優しいですね。」


今までないほど柔らかく笑う紡木の顔に、西園寺は思わず釘つけになってじっと見つめていると「…あんまり見ないでください。」と紡木はプイッと顔を逸らした。

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