西園寺先生は紡木さんに触れたい
「紡木さん、好きだよ…。だからこそ、僕が紡木さんの恐怖症を克服したい。」
「えっ…。」
「夏休みの間調べていたんだ、色々。それをピックアップしたのがこれ。1つずつ僕と試してみない?」
そう言って西園寺は紡木の前に数枚の紙を出した。
紡木がそれを覗き込むと、男性恐怖症を克服できた例がずらずらと書かれていた。
「紡木さんは、どうかな?」
…正直、怖い。
先生の目の前でまた倒れて、蕁麻疹が出るくらいなら、もういっそ今のままの方が楽なのかもしれない。
でもここまで私のことを考えて提案してくれている先生の気持ちに応えたかった。
「…やります。」
少し間を開けてから紡木が答えると、西園寺の顔はぱあっと明るくなって「よかった。」と嬉しそうに呟いた。
「でもね、辛かったら途中でやめてもいいからね。無理だけはしないでね。」
真剣な顔で紡木を見つめる西園寺に、彼女は力強く頷いた。