西園寺先生は紡木さんに触れたい

料理を食べ終わった後、「私も出します!」と言う紡木に「大人が出すもんなのよ〜。」と千秋が半ば無理矢理会計をした。


「す、すみません…、ありがとうございます。」


外に出るなり申し訳なさそうに言う紡木に対して、千秋は「いいの、いいの。お代はアイツからもらうから!」と言いながら駐車場の方を指差した。


紡木は驚いて千秋が指を差す先を見つめると、そこにはむすっとした表情を浮かべた西園寺が立っていた。


「せ、先生!?」


思わず声をあげる紡木に、「じゃああとはよろしく!花奏ちゃん、またね!」と千秋は颯爽とその場を去った。


「とりあえず紡木さん、乗って。」


そう言って西園寺は助手席のドアを開けた。紡木はそれに大人しく従った。


「せ、先生、なんでここに…?」

シートベルトを着けながら、困惑の色を浮かべて紡木はそう聞いた。


「千秋に呼ばれて来たの。紡木さんとご飯食べてるから、って。」

「そ、そんな、わざわざ…。」

「2人でばっかりずるいでしょ。僕ともご飯一緒に行ってよ。」

そう言って口を尖らせる西園寺に「先生とはちょっと…。」と紡木は困り顔で答えた。


他の生徒に見られたら噂になっちゃうし…。

< 174 / 367 >

この作品をシェア

pagetop