西園寺先生は紡木さんに触れたい


「紡木さんって、いる?」

「えっ?紡木さん??」


昼休み、何やら廊下がいつもより騒がしいなと思ってた紡木は、「ケイト先生!」と呼ぶ声が自分のクラスの前で止まった時点で嫌な予感はしていた。


それでもまさか、そんな訳はないと、視線を向けずにお弁当を食べていると、その嫌な予感は的中したようで、思わず飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。


「紡木さん、ケイト先生が呼んでる。」


西園寺先生に聞こえないような小さな声で、そうぶっきらぼうに言う女子生徒に、紡木は苦笑いを浮かべながら先生の元へとのそのそと近寄った。


「なんですか。」


「僕、あの日体調悪かったわけじゃないんだ。でも、心配ありがとうね。」


にこにこと笑顔を浮かべながらそう言う西園寺に、紡木は訳がわからず「はあ。」と適当な返事をした。


体調悪いが悪くなかろうがどうでもいいんだけど。

あの時はなんとなく声を掛けただけなのに。

この先生は何を言いたいの??

西園寺の背後から感じる鋭い悪意にある目線に更にイライラしながらも、先生の次の言葉を待った。
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