西園寺先生は紡木さんに触れたい
「な、んで、こんな、とこ、に…?」


「本当にたまたま通りかかっただけ…。苦しいよね、今車に乗せるからもうちょっとだけ我慢してね。」


西園寺はそう言いながら、紡木を抱きかかえた。


「お、おい、お前は誰だ!」

「あなたこそ、誰ですか。」


そう冷静に言い返す西園寺を男はさらに睨みつけた。


「俺はその子の父親だ。」


その言葉に西園寺は顔色を変えることなく、口を開いた。


「お父さんとは、物心がつく前に別居してるとお聞きしましたが?

それに、僕はあなたよりも紡木さんを愛してます。本当に、心の底から。だから、僕が連れて帰って看病します。」


そう言い放つと、暴言を吐く男を無視して、西園寺は車へと向かった。

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