西園寺先生は紡木さんに触れたい

後部座席に紡木を乗せるとたまたま車に積んであったタオルをかけて、西園寺も運転席に乗り込みエンジンをかけた。


「せんせ…。」


走り出してしばらくしてから、落ち着いたのか、紡木が西園寺に声をかけた。


「紡木さん、気分はどう?」

「大丈夫、です…。」

「そっか…とりあえず紡木さんの家に向かうね。濡れてるから、早くお風呂に入らないと。」


西園寺がそう言うと、返事の代わりに泣き声が聞こえてきた。


「つ、紡木さん!?大丈夫!?どこか痛い?気持ち悪い?」




「こわい、ひとりになりたくない…。」


紡木はぼたぼたと涙を零しながら震える声で言った。



「せんせ、一緒にいて…。」

「…っ!」


鼻にかかった声に、西園寺は一瞬理性を失いかけたがなんとか取り戻した。


そしてひとつ深呼吸をしてから口を開いた。


「わかった。僕の家に行こう。」



西園寺は落ち着いた声でそう言うと、紡木も「はい。」と答えて泣き止んだ。



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