西園寺先生は紡木さんに触れたい
「ありがとうございました。」
ドアが開く音と同時に、紡木の声が聞こえてきて、ポットをじっと眺めていた西園寺は、「ああ、」と彼女の方へ振り返った。
うっわ…。
ダボっとしたスウェットの襟元からは彼女の白く華奢な鎖骨が見え、一気に劣情を煽られた西園寺は急いでポットへと視線を戻した。
「あ、あの、紡木さん。コーヒーと紅茶、どっちが好き?」
一生懸命平静を保ちつつ紡木に話しかける西園寺に、彼女は「…紅茶が好きです。」と答えた。
「紅茶ね、砂糖とミルク入れる?」
「はい、ありがとうございます…。」
「そっちに持って行くから、奥のソファーに座っていて。」
紡木は「はい。」と返事をすると、西園寺に言われた通りリビングへと向かった。
紡木は白い皮のソファに腰を下ろすと、ぼーっと室内を眺めた。
先生に会って、お風呂に入って少し落ち着いた…気がする。
今でも嫌な心臓の高鳴りはやまないけど…
あの時先生が通りがかって、助けてくれて本当によかった。じゃなきゃあのまま、雨の中気を失ってたかも…。
紡木はあまりの恐怖で身震いをした。