西園寺先生は紡木さんに触れたい

「飲んでいてくれてよかったのに。」


しばらくしてリビングに戻ってきた西園寺は、カップに手をつけてない紡木にそう声をかけながらソファに腰を下ろした。


紡木はその言葉に、「いただきます。」と言ってから、ミルクと砂糖を入れて軽くかき混ぜてから口をつけた。


「…あったかい。」


冷え切っていた身体の芯に西園寺入れてくれた紅茶が沁みて、思わず口から溢れた。


それを聞いた西園寺はふふ、と笑ってからコーヒーに口をつけた。


「あっ、そういえばお母様に連絡した?まだ乾燥に時間かかりそうだし…。」


西園寺は急にカップから口を離すと、少し焦った様子で紡木に聞いた。


「母は看護師で、今日は夜勤で明日のお昼前まで帰ってこなくて…だから大丈夫です。」

「そうなの?それならよかったけど…。何かあれば僕からお母様に説明するから、言ってね。」

「はい…ありがとうございます。」


紡木がそう返すと、しばらくの間2人の間に沈黙が流れた。

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