西園寺先生は紡木さんに触れたい

「おーい…紡木さん?」


泣き声を上げたかと思えば、急に静かになった紡木に、西園寺は驚きながらもトントン、と背中を叩いて声をかけた。


しかし彼女からは規則正しい寝息が聞こえるだけで、西園寺は「マジか…。」と1人呟いた。


自分の胸の中で眠る紡木への愛おしさと、早く送り届けなきゃという焦りが心の中で競り合って、暫くしてから彼女を抱き上げて寝室へと運んだ。


ゆっくりとベッドに下ろすと、「んん…。」と声を漏らす紡木に、健康的な成人男性である西園寺は正気を失いそうになったが、なんとか心を落ち着かせて、ゆっくりと布団を掛けた。


寝顔まで可愛い…。罪だよ。


そう心の中で呟きながら西園寺はベッドの縁に腰をかけて紡木をじっと見下ろした。


『先生はそんな人じゃないって、わかってるのに、身体はわかってくれなくて…。』


僕のために泣かないで、紡木さん。
僕は君を泣かせたくなんかない。ただ、幸せにしたいんだ。


西園寺はそっと紡木の頬を撫でた。



さて…
流石に紡木さんと同じベッドで寝るなんてそんなことはできない。

そもそも教師が生徒を自分の家に泊めさせてることさえ他の人に知られたら即懲戒免職レベルだ。

しかし…

今の状態の紡木さんを独りにするのは不安だ。

だから紡木さんをここに寝かせておくのは僕の我儘なんかじゃない、うん、そうだ!しょうがないことなんだ。


そう心の中で言い訳をした。



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