西園寺先生は紡木さんに触れたい



「ん…。」

紡木がパチリと目を開けると、見知らぬ天井が広がっていた。


ここ、どこ?
えっと、私…


あ、先生のお家に来て、先生に抱きしめられて、急に眠くなっちゃったんだ。


そう思い出して周りをキョロキョロ見渡すと、キングサイズのベッドの縁に頭を預けて寝ている西園寺を見つけた。


「せ、せんせ、身体痛くなっちゃいますよ…!」


咄嗟にそう肩を叩いて声を掛けると、西園寺は「ん…。」と声を漏らしてからむくりと起き上がった。


「先生、ベッドで寝てください、私ソファで…うわっ!」


西園寺は寝ぼけているのか、布団に潜り込むと紡木が話しているのを遮って、彼女の背中を包み込むように後ろからぎゅっと抱きしめた。


「せ、せんせ…??」

「ん〜…。」


紡木は驚いてすかさず名前を呼んだが、西園寺は少し不機嫌そうな声をあげると再び深い眠りについた。


先ほどの安心感のある抱擁とは違って、今度は緊張と恥ずかしさで紡木の口から心臓が飛び出そうだった。


でも…。


顔が赤くなって、心臓がドキドキするだけで、蕁麻疹が出たり、気分が悪くなったりすることは無かった。

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