西園寺先生は紡木さんに触れたい

「気分は、どう?」

「…はい、なんとか。」


不安そうに聞く西園寺に、紡木はそう返した。

父のことを思い返すとまだ心がざわつくが、昨日と比べたらだいぶ落ち着きを取り戻していた。


「そっか…また何かあったら、僕にすぐ連絡してね。」

「はい。」


紡木が強く頷くと、西園寺はにっこりと笑った。


「それ食べたら送っていくね。」

「ありがとうございます。」


流石に自分にはこれ以上紡木と一緒にいる権利なんてない、と思った西園寺はなるべく寂しい気持ちを表に出さないようにさらっとそう提案した。


そんな西園寺の気持ちに気づいてはない紡木もまた、なぜか胸の中に満ちる寂しさに疑問を抱きながらも返事をした。


また月曜日になったら嫌でも顔を合わせることになるのに。

なんでこんなにも切なく感じるのか、紡木にはわかるはずもなかった。


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