西園寺先生は紡木さんに触れたい

次の日は、それはそれは紡木にとって久しぶりに平穏に過ごせた。はずだった。


「おい、ツムツム。」


いつもの声に呼ばれて流石に慣れた紡木は、「何ですか〜。」とゆっくり振り返った。


「結局昨日なんて気持ちを伝えたらいいのか聞けなかったじゃねえか。あ?」


いつも通りに凄んでくる蓮に慣れ…るわけもなく「ひっ!」とこれまたいつものように短く悲鳴を上げた。


「オイ、結局葵に何て言えばいいんだよ。」


「そ、そうだねえ…女の子はお姫様扱いされたいの。」


「ほう。」


「お姫様に『俺に所へ来い!』なんて偉そうに言う王子様なんている?」


「…いるんじゃね?」


「…そっか。」


紬はそう呟くと深くため息をついて机に突っ伏した。


「何だよ、おい、どうしたんだよ。」


「ちょっと考えさせて…。」


恋愛相談のエキスパートである紡木ですら、蓮のオラオラ具合はどうにもならなっそうだった。


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