西園寺先生は紡木さんに触れたい
『遅いから送ってくよ。正門出てすぐのバス停近くにいるからおいで。』
そのメッセージを見て、また胸が高鳴った。
隣に牧野がいるからか、紡木の心臓は忙しなく動いてやまない。
「あ、じゃあ、俺チャリだから!」
「あっ、うん!また!」
「おう、またな!」
そう言って牧野の背中を見送ると、ふう、とため息をついて、バス停へと颯爽と向かって行った。
「あ、ありがとうございます…。」
紡木がぎこちない顔で車に乗り込んでくると、西園寺はいつもの柔らかい笑顔もむけて「こちらこそ、ありがとう。」と返した。
「遅くまでお疲れ様。」
「先生こそ…手伝わせちゃってすみません。」
「あれが手伝いになったらいいけど…ハハ。」
西園寺はドン引きした紡木の表情を思い浮かべて乾いた笑いを返すと、紡木も「はは…。」と苦笑いを浮かべた。
「…なんか、先生とこうして話すの、すごく久しぶりですね。」
気まずい雰囲気に、話題を変えようとした紡木がそう口にすると、西園寺は少し驚いた顔をして、それから柔らかい笑みを浮かべた。
「だね。紡木さんは面接練習とか、文化祭の準備で忙しかったし、僕も文化祭とかテストの準備とかで…。」
「ですね。…なんか変な感じです。」
紡木は思い切って心の中にある違和感を吐き出すと、西園寺は「寂しかった?」と冗談混じりに返した。
寂しかった、のかな。
紡木はそう自分の心に問うてみた。
「…わからないです。」
「え〜、僕は寂しかったけどなあ。」
紡木の言葉に、西園寺は残念そうに声を上げた。