西園寺先生は紡木さんに触れたい

次の日の放課後。


屋上に続く扉の鍵を締めることを任された西園寺は、めんどくさいなー。とぼやきつつも屋上へと続く階段を登っていた。


「私は無理…よりを……またすぐ浮気されそう…

だから言葉だけじゃなく、もう浮気しない、葵だけを見てるって態度で示せばいいんじゃない?」




登っていくにつれ鮮明に聞こえるその声は、紡木のものだと理解すると、西園寺はピタリと足を止めた。


何を話しているんだろう。


悪いとは思いつつもこっそりと聞き耳を立てていると。


「うーん、毎日愛を伝えるとか?どれだけ葵のことを大切に想ってて、離したくないのかを言葉にすればいいんじゃない?それでも無理なら荷物持ってあげたり、困っていたら助けてあげたりとか。」


話の内容からすると恋愛相談なのか。

そういえば紡木さんの恋愛相談がどうとか、いつも周りにいる女子生徒から聞いた事がある。


何でも恋愛経験豊富な紡木さんが恋愛相談に乗ると百発百中でうまくいくとか。

それでも僕とうまくいくはずもない女子生徒たちは「嘘つき!」と嘆いてたっけな。


いやあ、相手が悪いんだよ、正直。

僕には恋愛感情というものがよくわからないし、生徒とどうこうなろうなんて微塵も思わないしね。



それにしても…


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