西園寺先生は紡木さんに触れたい

「はーい、皆さん教室に戻ってくださいね。もうすぐ朝礼が始まりますよ。席についてないと遅刻扱いにしますよー。」


そう言った瞬間、そういえば紡木さんは隣の3年5組の子だったよな、と西園寺はふと思い出して、ちらりと教室内を見た。


その瞬間何故かこちらを見ていた彼女とばちりと目が合った。


目を泳がしてる、名前を間違えたことを申し訳なく思っているのかな。

そんなこと気にしなくてもいいのに。


そんな意を込めて、西園寺は周りに女子生徒がいることなど忘れて、ひらひらと紡木に手を振った。

しかし紡木から返ってくるのは苦笑いだけだった。


あれ、僕もしかして嫌われてる?


そう思ってから、周りを取り囲んでた女子生徒たちの雰囲気が険悪になっていることに気づいた。


やっちゃったなあ。
周り見えてなかったとか。馬鹿じゃん。
紡木さんに酷いヘイトが向かなきゃいいけど…。


西園寺は自嘲しつつ流れるように3年4組の教室内に入っていった。

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