西園寺先生は紡木さんに触れたい
次の日の昼休み。
お弁当を食べ終えた紡木がトイレに行こうとすると、昨日相談をしてきた女子生徒が声を掛けてきた。
「つむちゃん、ありがと!やっぱアイツ浮気してた!もう別れてやったわ!!」
「そうなんだ、よかった。そんな悪い男、離れて大正解よ!」
紡木がぽんぽんと彼女の肩を叩くと、「そうよね!」と鼻息を荒くして言った。
「それよりも、つむちゃん、年上の彼氏いるんだっけ?」
「えっ…あ、あー、うん。」
忘れかけていた架空の彼氏の存在を瞬時に思い出すと、紡木は罪悪感から苦笑いを浮かべて曖昧に答えた。
「ね!お願い!私も新しい出会いが欲しいんだ!合コンしよ!!」
「ええっ!…っとー…うーん…。」
いないはずの彼氏にお願いして合コンセッティングするなんて、無理難題だ。
紡木は一生懸命難なく断れる言葉を頭の中で探した。