西園寺先生は紡木さんに触れたい
昼休みが終わる1分前。
パチリと目をますと、紡木にとって見慣れた天井があった。
保健室の天井だ。
そう思うと同時にむくりと起きて、蓮に掴まれた右腕を確認した。
よし、もう跡に残ってない。
そう思って、ベッドのカーテンを開けると同時に5時限目開始のチャイムが鳴った。
「…すみません、お騒がせしました。」
「いいえ〜。いつでも休んでいいわよ。」
「いつも、ありがとうございます。」
保健室の先生は、紡木の事情を知っている数少ない先生だ。
こうして蕁麻疹が出るたびに匿ってもらっていたが、失神するほど酷いのは初めてだったので、先生は不安げな顔を紡木に向けた。
「どうせ今から授業に行ったって逆に目立っちゃうでしょう。休んでく?」
それもそうだな、と思って、紡木は先生の言葉に甘えることにした。