西園寺先生は紡木さんに触れたい

「急にごめんね〜。あ、そこに座って。」


西園寺は2人を化学室へと連れてくると、適当な椅子に座らせた。


紡木は何事かと首を傾げながら椅子に腰をかけた。



「えっと〜、まずこれなんだけど…。」


そう言って西園寺は2人の前に一枚ずつ紙を出した。


『第3学年 一学期 化学期末テスト』と書かれた紙にはそれぞれの名前が…つまりそれは、つい一昨日受けたばかりの期末テストの解答用紙だった。


既に採点まで終わっているそれは、紡木の名前の横には赤い文字で『15』と書かれていた。



「ぎゃはは、お前も15点かよ!」


紡木の解答用紙を盗み見した蓮が、ゲラゲラと笑い声を上げると、紡木はキッと蓮を睨んだ。


「ハハ…まあ、2人が化学が苦手なのは分かるし、極力無理はさせたくないんだけど…

2人とも就職志望だから、赤点があると不味いでしょ?


そこで救済措置として、7月25日から1週間補講を行うことになりました〜!」


そう言って自分でパチパチと拍手する西園寺に、蓮は「はあ!?」と叫んだ



「あくまで救済措置だからね、参加したくなければ参加しなくてもいいし…ただ、その場合赤点のまま成績がついちゃうけど。

紡木さんはどうする?」


西園寺に話を振られた紡木は、我に返って「やります!!」と勢いよく言った。



それを聞いた蓮は「俺はやらねーからな!」と言って、席を立とうとした時、化学室のドアが開いた。

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