西園寺先生は紡木さんに触れたい

「じゃあ、今まで彼女は何人いたの?」


「…遠藤さん。」


「え〜いいじゃん!気になるう〜。ね、ツムちゃんも知りたいよね?」


「え?…ハハ。」


「質問は纏めて後で答えるから、とりあえずプリントを終わらせてくださいね。」


そうやって葵の質問を流すと、「あ、紡木さん、ここちょっと違う。」と解説を始めた。


「あ、ありがとうございます。」


丁寧な解説に紡木がお礼を言うと、西園寺はにこりと笑った。



そんな2人を横目で見ていた葵は少しムッとなって「ケイト先生、ウチもここわかんない〜。」と甘ったるい声で言った。


「どれどれ…ああ、これはね…。」


そう言って一生懸命解説する西園寺を、葵はうっとりとした目で見ていた。


「…って聞いてる?遠藤さん?」


「…先生ってかっこいい〜…。」


葵のその様子に蓮は鋭い目つきで西園寺を睨みつけ、紡木は若干引いた目で見ていた。


「ハハ…遠藤さんちゃんと聞いてね…。」


西園寺は半笑いでそう言うと、ため息をついた。


「そ、そういえば、…西園寺先生って、勉強ができる子とか、一生懸命に勉強する子が…すっっごいタイプって、前に言ってましたよね?…ね??」


一気にやつれた西園寺を見かねて、紡木がそう気を効かせると「そうそう!そうだった!」と西園寺もそれに乗った。


「ええっ!?そうなの??…じゃあちゃんとやろ!」


見た目からは想像もつかないほど素直な葵は、2人の言葉に何の疑いも持たず、真面目にプリントに手をつけ始めた。
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