西園寺先生は紡木さんに触れたい

西園寺はふう、と安堵の溜息を吐くと、紡木に視線を送った。

それに気付いた紡木は軽く会釈をすると、再び真面目にプリントを解き始めた。



「…えっと〜、霧島くん?プリントやろうか。」


「あぁ!?」


西園寺がペンすら持たず腕を組んでいる蓮にそう声をかけると、蓮はドスの利いた声でそう返した。


「誰がやるかよ、こんなもん。」


「やらないと赤点のままだけど…いい?」


「別にいいし、俺は…「北山田製紙株式会社」


西園寺が突然とある会社名を出すと、霧島はキッと西園寺をいっそう鋭く睨んだ。


「西園寺 吉継、って言えば分かるかな?お母様にいつもお世話になっているみたいで…。」


蓮にだけ聞こえる声で耳打ちをするなり、蓮の顔はみるみるうちに青ざめていった。

そんな彼の様子を西園寺はニコニコ笑顔で見守っていた。


「どうなるか大体は察しがつくかな?…で、どうする?やる?」


「やる…。」


急に大人しくなった蓮に、先生はどんな手を使ったんだろう?と不思議に思いながら紡木は問題を進めていった。


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