君だけに捧ぐアンコール
マスコミに騒がれて自暴自棄になりかけていた夜。
「7歳の時に隆文さんと真知子ちゃんに引き取られたんです。」と彼女が生い立ちを話し始めた。そして、泣いていた彼女にピアノを弾いた俺のことを覚えていたことが分かった。それは俺だと名乗り出ようか迷っていたら、
「沢山聞いてきた私が、あなたの音だけキラキラひかってみえたんです。初めて貴方の演奏を聴いたとき、魔法使いだと思いました。」
と突拍子もない比喩を使ってきた。
「キッラキラしてるんです。音が光ってるのなんて初めて。あのコンサートからファンになりました。」
ベッドを降りて、俺の布団に近づいてきた彼女は、俺の手をそっと握った。
「貴方が好きだと気付いてからもっと、もっと大好きな音になりました。」
月明りに照らされた彼女の優しい笑みは、どこまでも神々しかった。
「おばあさまの音に似ていても、似ているだけで同じじゃない、貴方だけの音です。私はその貴方だけの演奏に恋をして、あなた自身にも恋をしました。他の誰がどう言ったって、貴方が大好きだし、貴方のピアノが世界一です!」
「それだけじゃ、だめ?」
あぁ。
愛おしい。
ピアノが弾きたい。
彼女への想いをピアノにぶつけたい。誰がどう言おうと、彼女の為にピアノを弾くのが、俺の原動力なのだと今、気づいた。
ゆっくりと彼女の頬を包む。彼女が微笑むので、愛おしさが溢れ、そのままキスをした。あのカノンを弾いたのが俺だとカミングアウトするのは、もう少し後。
「7歳の時に隆文さんと真知子ちゃんに引き取られたんです。」と彼女が生い立ちを話し始めた。そして、泣いていた彼女にピアノを弾いた俺のことを覚えていたことが分かった。それは俺だと名乗り出ようか迷っていたら、
「沢山聞いてきた私が、あなたの音だけキラキラひかってみえたんです。初めて貴方の演奏を聴いたとき、魔法使いだと思いました。」
と突拍子もない比喩を使ってきた。
「キッラキラしてるんです。音が光ってるのなんて初めて。あのコンサートからファンになりました。」
ベッドを降りて、俺の布団に近づいてきた彼女は、俺の手をそっと握った。
「貴方が好きだと気付いてからもっと、もっと大好きな音になりました。」
月明りに照らされた彼女の優しい笑みは、どこまでも神々しかった。
「おばあさまの音に似ていても、似ているだけで同じじゃない、貴方だけの音です。私はその貴方だけの演奏に恋をして、あなた自身にも恋をしました。他の誰がどう言ったって、貴方が大好きだし、貴方のピアノが世界一です!」
「それだけじゃ、だめ?」
あぁ。
愛おしい。
ピアノが弾きたい。
彼女への想いをピアノにぶつけたい。誰がどう言おうと、彼女の為にピアノを弾くのが、俺の原動力なのだと今、気づいた。
ゆっくりと彼女の頬を包む。彼女が微笑むので、愛おしさが溢れ、そのままキスをした。あのカノンを弾いたのが俺だとカミングアウトするのは、もう少し後。