幼なじみじゃ、いられない。

「え……」


目の前に現れた人の姿に、あたしは意味が分からなくて目を丸くする。


「な、何……?」

「いや、フラフラ歩いてたから」


かろうじて絞り出したひと言に、大地くんは心なしか少しバツの悪そうな顔をして答える。


なに、それ……。

ドクンドクンと、鼓動が大きくなる。


「別にフラフラ歩いてなんか……」


冷静を装って言い返そうとした。だけどその言葉は、


「大地くーん?」


階段の上から降ってきた言葉に遮られた。


タンタンタンと、次第に大きく聞こえる階段を降りる足音。

でも──。



大きな手のひらで塞がれた、あたしの口。

背中にはピッタリとくっ付いて、あたしの身体を覆う大地くんの身体。


「大地くんー? もう、さっきまで一緒にいたのに」


すぐ近くにいるにも関わらず、気付かない椎名さんが、ため息と共に呟く。


それもそのはず……椎名さんの声が聞こえた瞬間、大地くんはあたしを引き寄せて、影に隠れていた──。
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