幼なじみじゃ、いられない。
諦めた椎名さんが、再び階段を登っていく。
大地くんに触れられているところから、あたしの身体は熱くて。
「椎名さん、行っちゃうよ」
「別にいい」
口を塞いでいた手の力が弱まると、あたしは早く離れて欲しい一心で声をかけた……のに。
別にいい……って、何?
全然良くない。
あたしは全然良くない。
万が一こんなところを椎名さんに見られたら……ううん、椎名さん以外の他の人でも大変なことになる。
それに……。
「……なんで?椎名さんと付き合ってるんでしょ?」
絞り出した声は、微かに震える。
「彼女いるのに、こういうことしないでよ。変な勘違いされるの、ほんとに困るから」
きっともう椎名さんは行ったはず。
あたしは大地くんを振り切るように歩き出そうとするけど、
「ひながいいって言ったら?」
パシッと腕を掴まれて、引き止められた。
「ひなのことが欲しいって言ったら?」
真っ直ぐあたしを見つめる大地くんの瞳に、息が止まる。