幼なじみじゃ、いられない。
なんで……なんでっ!
ドクドクと今までにないくらい、鼓動の音が大きくて速い。
胸の奥が、ギュッと掴まれているみたいに苦しい。
『ひなのことが欲しいって言ったら?』
『他の女、ひなのために全部切ればいい?』
さっきの大地くんの言葉が、頭の中で反芻して離れない。
今まであたしのことなんか、見向きもしなかったくせに。
どんなに想っても、叶わなかったのに。
からかうにしても、なんで今更──。
「あっ、ひなちゃん!」
自分の中の声を振り切るように階段を駆け上がっていると、呼ばれた名前に足を止めた。
「美波ちゃん……」
パタパタとあたしを追いかけるように、階段を上がってくる美波ちゃん。
「お昼の帰り?一緒に教室戻ろ!……って、あんまり顔色良くないけど大丈夫?」
「あ、うん、大丈夫。早くしないと休憩終わっちゃうかなって思って急いでた」
ニコッと笑って返事すると、美波ちゃんは「そっか」と納得したように呟いて、あたし達は歩き出した。