敏腕パイロットは契約妻を一途に愛しすぎている
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新年を迎えた一月の第二週の木曜日。
朝からすっきりとした青空が広がる今日はネイルサロンの定休日なので、午前の早い時間から兄家族と母が暮らすマンションを訪れている。
年が明けてから母には匡くんと一緒に新年の挨拶をしたけれど、兄家族は夕香さんの実家に帰省していたため会うことができなかった。少し遅くなったけれど今日は夕香さんに新年の挨拶と結婚報告をするために伺ったのだ。
リビングのソファの前にはふかふかのラグが敷かれていて、そこでは夕香さんの息子の雄心くんと母がおもちゃを広げて遊んでいる。
その様子を眺めつつ、私と夕香さんはお喋りを楽しんでいた。ダイニングテーブルには夕香さんの淹れてくれた香りのいい紅茶と、手作りのパウンドケーキが置かれている。
兄が結婚してから、私はたぶん友達よりも夕香さんに話し相手になってもらうことが多いと思う。今日も、昨年のクリスマスイブのプロポーズのことを夕香さんに話していた。
「――それはたぶんダーズンローズじゃないかしら。日本では披露宴で行う公開プロポーズの演出として取り入れられたりするのよ」
「ダーズンローズ……」
匡くんから貰った十二本のバラの花束について話すと、元ウェディングプランナーの夕香さんがそれに込めらているという意味を教えてくれる。