敏腕パイロットは契約妻を一途に愛しすぎている
ぐるりと機内を見回す。約十年振りに乗る飛行機はやっぱり落ち着かない。
機内ではドリンクサービスが始まり、客室乗務員が各座席を回っていた。乗客ひとりひとりにドリンクを提供する仕草は丁寧で、常に笑顔を絶やさない。その姿には見惚れてしまうし、同じ女性として憧れる。
私のネイルサロンの常連客にも客室乗務員の女性がいるけれど、彼女も整った顔立ちをしているし背も高くスタイルがいい。施術中に自分と見比べてしまい落ち込むほどだ。
私の身長は百五十六センチと低くもなく高くもない平均。
ぷっくりした頬と小動物のように丸くてくりくりした目は、子供の頃はお人形さんのようで可愛いともてはやされていたものの、大人になった今では年齢よりも幼く見える要因になるのでコンプレックスでしかない。
唯一、マスカラに頼らなくてもいいほど長くてくるんと上を向いている睫毛だけが自分のパーツのお気に入りだ。
ドリンクサービスで配られたアップルジュースをひと口飲む。ここが苦手な飛行機の中だということを意識しないため、座席のポケットに入っている沖縄の観光雑誌を読むことにした。
目的は観光ではないけれど、苦手な飛行機に乗ってせっかく沖縄に行くのだから今夜はそこでしか食べられないものをたくさん食べようと決めている。