敏腕パイロットは契約妻を一途に愛しすぎている
『今後軽く揺れる場合がございますが飛行にはまったく影響がございませんのでどうぞご安心ください。本日は、ご搭乗まことにありがとうございます』
淡々としたアナウンスだった。
ふと思い出すのは高校の修学旅行の帰りに乗った飛行機。激しく上下に揺れたあの恐怖を再び味わうのだろうか……。
そわそわと落ち着かないまま、しばらくは穏やかな空の中を順調な飛行が続いた。けれど目的地まであと一時間ほどの地点になるとシートベルト着用サインが出て、やはり機長が言っていたように機体が揺れ始める。
ふわっと落ちる感覚に、内臓が浮くような独特な不快感が押し寄せて気持ち悪い。
まるでデコボコ道を走行するような揺れが続き、乗客たちの悲鳴のような声もたびたび聞こえた。
大丈夫かな……。
恐怖で心臓が縮み上がる。
近くに座る女性の「落ちたらどうしよう」という呟きが私の恐怖心をさらに煽った。
お願いだからそういうことは思っていても口に出さないでほしい。恐怖が連鎖する。私、今すごくビビってるから……!
こんなに揺れているのに飛行には影響がないのだろうか。機長はそう言っていたけれど、なんの知識も持たない素人は不安でたまらない。