「私みんなに嫌われてるんだよね。だから君も私と関わらないほうが身のためだと思うよ。」
髪の毛をサイドに流しながら横目で四宮君のほうを見る。
「君は優しいんだね。」
急にサーっと生暖かい風が私たちを包み込んだ。
四宮君はその場に座って湖をじっと見ている。
優しい?私が?有り得ない。
「いや、言ってる意味が分かんないんですけど。」
「君は、嫌われてるんじゃなくてただ嫌われようとしているだけなんじゃないの。」
どくんと胸が波打った。
「そんな訳ないでしょ。あんたに何がわかんの。嫌われたことも無いくせに。」
「そっちこそ、俺の事何も知らないでしょ。」
知らないよ。知るつもりないし。
もう帰ろう。せっかく一人になりたくて来たのに、意味ないじゃん。
虫嫌いバレたし、意味のわからないことばっか言われるし、今日は最悪だ。
「じゃ。」
スマホを操作しながら行き来た道を戻る。
「次はバッタに引っ付かれないようにね。」
「うるさい。」
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