葉山さんは、敬語をやめて優しく話しかけてくれた。
その気持ちは素直にうれしかったけど、今から話す内容が内容だったので、私は敬語を続けた。
「それは私も知らないんです。小学二年生の時に事件に巻き込まれて亡くなったので、仕事のことは何も聞いてなかったんです。」
「え……ごめんね。思い出させちゃったかな?」
「いえ、大丈夫です。昔は児童養護施設にいたんですが、いじめに耐えられなくて去年から一人暮らしをしています。友達と呼べる人は一人もいません。ずっと勉強ばかりしてきたのでテストはずっと学年一位です。最近のことといえば、ワイヤレスイヤホンを買いました。耳をふさいで周りの音を消せるのでお守りとして持ち歩いています。」
「な…るほど。色々大変な思いをしているんだね。」
葉山さんはパソコンに私が話した内容を打ち付けている。
「あの……このことほかの人には…」
「大丈夫だよ。うまく伝えておくから安心してね。」
 よかった。ほっと胸をなでおろす。
「葉山刑事。調査結果が送られてきました。」
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