そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

いくつか本屋を見て回って、少しばかりではあってもやっと武族の作者の本も取り扱っている店を見つけて、そこで最新刊の二巻を購入した。

続きが読めて嬉しくはあったものの、魔族と武族のわだかまりがそんなところにもと、ソフィアは不満を抱かずにはいられなかった。

それから毎年一冊のペースで新刊が発売されるこのシリーズを楽しみにしていたのだが、ケットジアではもうすでに十五巻まで本屋に並んでいるらしい。


「ケットジアに寄り道して帰ったらダメかしら。本を買い込んで帰りたいわ」


自分の後ろに控えているマシューにソフィアがこそっとお願いするが、マシューからは苦笑いが返される。


「姫様、そのように気軽に他国へ入れませんよ。入国の手続きに審査もありますから」

「そうなの。残念ね。それなら大人しく、新刊が出るのを首を長くして待つことにするわ」


ソフィアがしゅんと肩を落としたところで、テーブルに料理が運ばれてきて、先ほど部屋に案内してくれた執事が隣へと進み出てくる。


「ナーディルの若肉の炙り焼きでございます」


ナーディルとは主にケットジア南部に生息している小型の獣で、数もあまり多くない上に、足が早く捕獲するのが大変苦労することから、特別な場で振る舞われることが多い。

< 101 / 276 >

この作品をシェア

pagetop