そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
もちろん王子の願いを聞き入れ、馬車には乗り込まず、ソフィアが執事にケットジアの食材に関する質問をし始めたところで、クラウド王子が戻ってきた。
「……これ、を……」
クラウドから差し出されたのは、先ほど彼が読んでいた小説本。しかもまだソフィアが読んでいない、九巻と十巻だ。
「俺はもう読み終わっているから、二冊ともあげるよ」
「いっ、良いんですか?」
「構わない」
クラウドからも何かをもらえるとは思っていなかったソフィアは、驚きを隠せないまま二冊の小説本を受け取る。
「ありがとう。大切に読むわ!」
ソフィアはにこりと笑って、花束に紙袋、そして本二冊をまとめて軽く抱きしめた。
「それでは失礼いたします」とマシューが断りを入れ、ソフィアへ馬車に乗るように促す。
ソフィアもクラウドへ膝をわずかに折って簡易的なお辞儀をしてから踵を返したが、「ソフィア」と唐突にクラウドから名前で呼びかけられ、目を大きくして振り返る。
「俺の婚約者に、あなたを指名する」
はっきりと響いた宣言に、ハンナから「まぁ」と嬉しげな声が上がり、執事は納得するように頷いて見せた。