そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
ソフィアは持っている物全てをすぐそばにいるマシューへと預けてクラウドへと歩み寄り、その場に両膝をつくと、両手を胸に当てて、頭を垂れた。
「身に余る光栄でございます」
魔族の女性の最敬礼を受けて、クラウドも拳で軽く二回ほど胸を叩いて、わずかに頭を下げた。
「後程、正式な手順に則って婚約を申し込む。……よろしく頼む」
「承知いたしました」
ソフィアはクラウドと視線を通わせて、意味ありげに微笑み合ってから、「失礼致します」とようやく馬車へ乗り込む。
続けて乗り込んできたハンナに「姫様、おめでとうございます!」と抱きつかれながら、ソフィアは第一関門うまく突破できたかもと安堵のため息をついたのだった。
それから半年後、ソフィアが正式にクラウド王子の婚約者となった。
相手は王子と言えど、娘を武族の男に嫁がせずに済んだ父親たちは安堵し、半魔族の姫を厄介払いできるとほくそ笑んだ。
一方で、ソフィア付きの侍女たちは、姫様はこの先辛い人生を送ることになるのではと将来を案じていたが、婚約後、クラウドからソフィアに様々な贈り物が届くのを目にするうちに、クラウド王子なら姫様を大切にしてくださるわと、少しずつ考えを改めていった。