そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

そして月が変わり、心待ちにしていた中月祭の最終日がやってくる。

ソフィアはゼノンと共に馬車から降りて、たくさんの軒先にソフィアの顔と同じくらいの大きさの黄色の提灯が下げられ、多くの人で賑わっている街並みに目を輝かせた。


「見ているだけでワクワクしてくるわ。……ねぇお父様、みんなが食べている黄色くて丸いあれは何?」


今日は付き添いでハンナがいないため、食べ物程度の些細な質問をするのを躊躇ったが、それを売っている露店から漂ってくる甘い香りに気付いてしまえばもう我慢できず、自分の隣にいるゼノンへ問いかける。


「あれは中月包みと呼ばれる饅頭。中月祭の名物だ」

「饅頭……美味しそう。いえ、間違いなく美味しいわね。みんな幸せそうな顔で食べているもの」


ブツブツ呟きながら購入する人々を羨ましげに見つめていると、「ゼノン殿、お待ちしておりましたぞ」とブロンドの柔らかそうな髪を風になびかせながら、美形の男性が近づいてくる。


「マクマス国王、急な訪問を快く了承いただき、感謝する」


ゼノンの言葉を聞いて、迎え現れたこの男性はケットジア王で、クラウドの父親であると気がついて、ソフィアは背筋を正す。

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