そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
クラウドに見送られながら馬車に戻り、ふうとソフィアは息をつく。
「疲れたか?」
共に馬車に乗り込み向かい合わせに座ったゼノンから問われ、ソフィアは素直に認めるように頷く。
「はしゃぎ過ぎたから少し疲れました。私、もう少し運動して体力をつけるべきね。でもとっても楽しかったわ。お父様のおかげよ。ありがとう」
名残惜しさを感じながらソフィアが窓の外を眺めていると、マシューが「失礼します」と馬車の扉を開けた。
「こちらでよろしかったですか?」
「あぁ」
持っていた紙袋をゼノンに渡して、マシューは軽く会釈し扉を閉じた。
中身は見えないが匂いはわかり、ソフィアは紙袋を見つめながら、ゴクリと唾をのむ。
「それはもしかして……中月包?」
「よくわかったな。その通りだ」
苦笑気味に正解を伝えて、ゼノンはソフィアに紙袋を渡した。
「食べろ。ソフィアのだ」
「……えっ。私の? ありがとうございます」
ソフィアは紙袋を覗き込み、ふわりと漂ってきた甘い香りに幸せそうに目を細め、早速一口頬張って惚けた表情を浮かべる。
「甘くて美味しい! お父様、半分こします?」
「いや、いい。俺は甘いものが苦手だ」
「そう。こんなに美味しいのに苦手だなんて可哀想」