そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
太鼓判を押されはしても、ベッドの上のソフィアの表情はやわらぐことなくはひどく苦しげで、その晩、ハンナたち侍女は交代で看病を続けたのだった。
そしてソフィアは、夢の中で額縁に入ったたくさんの絵に取り囲まれていた。
冷たい眼差しのゼノンに心配そうなマシューなど、意識を手放す前に脳裏に浮かんだ場面を切り取ったかのような光景もあったが、それ以外はソフィアの知らないものだった。
森の中、優しい光が差し込む先にぽつりと大きな岩が置かれていたり、紺色を基調とした制服を着た生徒たちが教師から勉学を学ぶ姿だったりと、さまざまな静と動が眩しく描かれている。
不意に一枚の絵にソフィアの目が留まる。
希望で溢れているような楽しい世界を描いた絵が多い中、それは異質だったのだ。
絵の中でぺたりと座っているひとりの女性が、ソフィアと同じように一枚の小さな絵をじっと見つめている。女性はとても残念そうな顔だ。
『あぁー。やっぱりダメだったか。パラメーター上げきれなかったからなぁ。クラウド完全攻略は難しい』
女性のものと思しき声を聞いた瞬間、どくりと鼓動が大きく鳴り響き、ソフィアは目を見開く。