そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?

小学校の時、同じクラスの友人宅に何人かで遊びに行ったことがあった。

テレビゲームで遊んだのだが、未経験なりにとても楽しくてすっかり夢中になってしまった。

欲しいなと思ったが、祖母との生活は余裕のあるものではなく、とてもじゃないがゲーム機を買ってもらいたいなどと、おねだりすることもできなかった。

もちろん彼女も、大好きな祖母に負担をかけるくらいならと、我慢することを選んだ。

そのためずっとゲームとは縁遠い生活をしていたのだが、社会人になった今、慎ましいのは変わらなくてもゲーム機を買う余裕くらいは生まれた。

早速女性はゲーム機と、先ほど見た広告のゲームソフト『メレディスの祝祭歌(しゅくさいか)』を購入する。

自分への贅沢な贈り物にどきどきし、ゲームなんか小学校以来だと目を輝かせ、ワクワクしながら帰宅。

優しい音楽に神秘的な風景、綺麗な建物と魅力的な男性キャラたち。

魔族や武族と呼ばれる人々が暮らし、魔法も存在する世界。

心の隙間を埋めるようにゲームにのめり込んでいく女性の目に、とあるひとりの男性キャラが映り込む。

鋭く冷たい瞳に見据えられ……ソフィアは、お父様と息をのむ。

その表情は池から助け出された後に目にしたものとまさに同じだった。

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