そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「お父様と別室がいいってイルバクト学長に頼みに行こうかしら」
「そうしたければするといい……まぁ俺が阻止するけど」
ソフィアがじろりと見やると、ゼノンはニヤリと笑い返してくる。
そこへハンナが「姫様、そろそろ起床のお時間です」と室内に入ってきて、ソフィアの慌ただしい一日が幕を開けた。
ハンナの控室で制服に着替えてから、部屋に運ばれてきた朝食をとり、教科書類をバッグに詰め込んで、ソフィアはゼノンと共に寮の部屋をでた。
「薬草学は一限目だったよな?」
「えぇ。お父様はこれからイルバクト学長のところに?」
この三ヶ月、ゼノンはミルドフキローアカデミーと王宮とを行ったり来たりする生活を続けている。
ミルドフキローアカデミーにいるときはほとんど、ゼノンはイルバクト学長やアカデミーのお偉いさんたちと議論を交わしたり、さまざまな講義や校舎を見て回ったりしている。
今日もきっとそうだろうと予想しながら問いかけると、ゼノンは少し言葉に迷うように首を傾げる。