そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
それはどういう意味かと見つめると、ゼノンは何かを思い出したかのように気だるくため息をついた。
「でも、俺の部下も、みんな優秀なヤツばかりだ。思うように切り崩せないことに、苦虫を噛み潰していることだろう」
「……もしかして、それが先日お父様があわてて王宮に戻られた理由?」
「あぁ、部下の無事を確認したらソフィアのことが心配でたまらなくなって、また大慌てて戻ってきたあの日のことだ」
「それからも色々あったが」とゼノンは少し疲れた表情を浮かべてから、そっとソフィアの頬に優しく触れる。
「兄たちはソフィアの光の魔力を脅威に感じているから、なんとかして俺から引き離したいんだ。でももう、それも不可能となってしまったが」
頬に触れていた大きな手がソフィアの後頭部へ移動すると、そのままゆっくり互いの距離を奪っていく。
ゼノンはしっかりとソフィアを抱きしめた。
「ミルドフキローアカデミーの外に出る場合は、必ず俺と一緒に。アカデミー内でも、ひとりでは行動しないように。出来る限り俺を頼ってほしい」
力強く響いた言葉に、ソフィアの心が熱くなる。
これほどまでに心配してくれる彼の気持ちが嬉しくて、視界が涙で滲み出す。