そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
その一ヶ月間、ナタリアは実家に帰る予定なのだと、階段を降りながら話をしていたのだ。
「長期休暇にロッシュドギアに戻るなら、私も一緒に行こうかしら」
チラリとゼノンを見てから、ソフィアは自分の考えを伝える。
行ったり来たりしているゼノンを大変そうだと常々感じていたし、何よりマシューは、できればゼノンにずっと王宮にいてほしいと思っていることだろう。
「好きにしたらいい。どちらにしても俺はソフィアと一緒にいるから」
ゼノンに耳元で囁きかけられ、ソフィアが頬を熱くした時、ガラリと図書室の扉が開き、中からクラウドが出てきた。
「やぁ、ソフィア。一位おめでとう!」
すぐに彼もこちらに気づいて、にこやかに微笑みながら歩み寄ってきた。
「ありがとう。クラウド様も四位だったわね。すごいわよ」
「俺も今度こそ一番を取ろうと頑張ったが、一歩及ばずだったよ。次こそ負けないからな」
クラウドは不敵に微笑んで見せてから、廊下の先を見渡すように、少し背伸びをした。
その瞬間、クラウドの胸元に下げられていたネックレスの黒い宝玉がきらりと瞬き、先日、町でふたりが露店の店先で似たようなものを見ていたのを思い出す。