そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
「ひ、姫様、どうかなさいましたか?」
「なんでもないわ。気にしないで。今日の私、少しおかしいの」
笑って誤魔化したあと、レベル15の自分が情けなくて泣きそうになりつつ、ソフィアは続きを読み進める。
『魔力属性、水。王宮執務官長。純魔族。恋人あり』
王の右腕ポジションとも言える立派な肩書きにさすがねと、そして恋人ありというのもイケメンだし当然よねと納得しつつ、……純魔族であることに少しがっかりする。
マシューももちろん、ソフィアが半魔族であることを知っているだろう。
それなのにこんなにも優しくしてくれるのは、実は彼自身も半魔族だからではないかと考えたのだが、予想は外れた。
一応魔王の娘であるから、仕方なく気遣ってくれているのかなともソフィアは考えるも、それは違うような気がするとすぐに心の中で否定した。
それなら先ほど診察してくれた王宮医のように、仕方なくという思いが態度に滲み出ていてもおかしくないが、マシューからそんな様子が見受けられたことは今まで一度もない。
ハンナが用意したお茶を美味しそうにすすり始めた王宮医へと何気なく視線を戻し、彼の傍らにはまだ情報が浮かび上がったままなことに気がついた。