そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
気恥ずかしげに飛び出した言葉で、アルヴィンの顔の前にパーソナルデータを呼び出してしまっていたことにソフィアは気付き、前のめり気味だった体を後ろへ引き戻した。
「決めたわ。私の目標はアルヴィンあなたよ」
「も、目標? なっ、何で俺が」
「私、少しでもあなたの優秀さに近づきたいの」
ソフィアがにこりと笑みを浮かべて宣言すると、アルヴィンが瞬きを繰り返し、「そ、そうか俺は優秀だからな」とまんざらでもない様子で呟いた。
「気が変わった。授業を続ける。教育係を呼び戻して来い!」
後ろに控えていた執事に意気揚々と命じて、入り口近くの小部屋へとアルヴィンは戻っていった。
執事はソフィアに「ありがとうございます」と頭を下げて、図書館を出ていく。
残ったのは、ポカンとするソフィアとホッと息をついたハンナのふたり。
「なぜか感謝されてしまったわ」
「それは、今の姫様の言葉でやる気になったからでしょう。……アルヴィン様はとても優秀ですけど、大の勉強嫌いだとも聞いておりますから」
少し周囲を気にしつつ、ハンナが声を潜めて囁きかけてくる。
ソフィアは自分の言葉を宣戦布告のように捉えられてしまったのかもと考え、「なるほど」と頷いた。