そんな裏設定知りません! 冷酷パパから結婚を申し込まれましたが、これって破滅フラグですか?
そのままソフィアはハンナと共に図書館を出て、寄り道もせず屋敷へまっすぐ戻っていく。
午後も読み書きの続きをすることになっている。
そのままソフィアは自室の机へと向かい、ハンナも持っていた四冊の本を丸テーブルに置いてから、机の傍の椅子に腰掛けた。
ページに並んでいる文字を必死に書き写し始めたソフィアを見つめながら、ハンナは小さく笑う。
「姫様、前向きになられましたよね。以前はアルヴィン様同様、こうして机に向かうことが苦手でしたし。しかも、内気で人前で発言などされませんでしたが、アルヴィン様相手にもまったく物怖じせずに」
ソフィアは文字を書く手を止めて、言われてみれば確かにと納得する。
以前の自分は引っ込み思案で、人の顔色ばかりうかがっていた。アルヴィンに言い返すなんてできるはずもなく、ハンナが驚くのも無理はない。
転生前の記憶や知識を得たあたりから、物事の捉え方が少し変化したのはソフィア自身何となく感じていた。
かつての自分の前向さに、しっかりと影響を受けているように思えた。
「アルヴィン様の機嫌を損ねたらと、少しヒヤヒヤしましたけれど。……そうですよ。姫様はあのゼノン国王の娘であられますもの。ハンナは姫様にお仕えできて、とても誇らしく思います」